==ひじき==
西洋でも最近注目されている海藻類、ひじきもその他昆布・わかめ・海苔・天草・もずくなどと同様に海藻の一種です。
海藻を沢山食べると髪が黒々ふさふさになるという言い伝えを信じて、食卓にひじきの煮物などが出て来たりすると、夢中で食べておりましたが、先日、その言い伝えには何の科学的な根拠もないと聞き、何か虚しさを覚えました。ひじきは黒くて短い鹿のしっぽに似ているところから、漢字では、鹿尾菜と書きます。
ひじきは海の岩場で育ち、太さ約3mm、長さは1mくらいにまで成長し、収穫前には緑がかった褐色をしています。収穫は春に行われ、春を過ぎると固くなり、食用には向かなくなってしまいます。一本のひじきから採れる割合は、米ひじきや姫ひじきとも呼ばれて、柔らかいひじきの葉の部分の芽ひじきが約8割、そして茎ひじきとも呼ばれ、歯ごたえのある、ひじきの茎の部分の長ひじきが約2割です。その他、寒い冬に若いひじきを取った早どれひじきと呼ばれる、寒ひじきがあります。
現在国内で流通しているひじきはその約12%が国内産で、あとの約88%は中国産・韓国産・北朝鮮産なのですが、外国産はそのほとんどが養殖物です。一方、国産のひじきは全て天然物。長崎県・千葉県・三重県などが主な産地です。
栄養面では、カリウム・マグネシウム・カルシウム・食物繊維などが含まれています。中でもカルシウムは牛乳の約12倍、そして食物繊維はごぼうの約7倍、更に鉄分はレバーの約6倍と、ミネラルや食物繊維が豊富なため、血液をきれいにして、高血圧や動脈硬化の予防にも効果があります。しかし、ひじきの鉄は吸収しにくいため、ビタミンCと一緒に摂取すると鉄の吸収が促されるそうです。又、ひじきに含まれるフコキサイチンという色素成分は、強い抗腫瘍作用があり、ガン予防にも効果があるそうです。
==紫蘇・しそ==
==紫蘇・しそ==
私もよく「しそふりかけ」などよく御飯にかけたりしていただいていますが、その他天ぷらにしたり、薬味に使うなど色々と使われる野菜です。変わったところでは、急須に茶葉と一緒に大葉を数枚入れる「大葉茶」などいかがでしょう。さっぱりとして、夏バテ予防に効果ありです。
紫蘇の原産地はヒマラヤから中国にかけてといわれています。日本では10世紀頃から栽培されて来たそうで、現在では愛知県の豊橋が日本でのその主な生産地となっています。紫蘇は葉、芽、花穂、実を絞って取るしそ油など、ほとんどの部分を使用でき、栄養的にはカロチン、ビタミンB1・B2・C、鉄分・カルシウム・カリウム・
マグネシウム・亜鉛・マンガン・銅などのミネラル成分や食物繊維が豊富です。
「大葉」と呼ばれる葉が緑色の「青じそ」と、紫色の「赤じそ」がありますが、「赤じそ」はカロチンが「青じそ」よりも少ない以外ほとんど同じようです。 又、梅干の赤色は、この赤じその色素が梅の出すクエン酸と反応して出るものです。
紫蘇と言えばやはり香りが命。その香り成分は、「ベリルアルデヒド」という物質です。これは防腐作用・抗菌作用がとても強く、食中毒予防、解熱、鎮咳、鎮痛、消化不良などに効果があります。又、消臭作用もあり、ストレス緩和の効果もあるそうです。最近では、抗酸化作用・中性脂肪の低減作用のあり、「赤紫蘇」に豊富に含まれるポリフェノールの一種の「ロズマリン酸」や、新陳代謝を促進して、悪玉コレステロールの低減作用や大脳の活性化効果のある「αリノレン酸」なども注目されています。
選ぶ時には、葉の付け根がしっかりした、葉に張りのあるものが良いでしょう。ハウス栽培で年中ありますが、初夏のものが旬です。湿らせたキッチンペーパーで包み、更に上からアルミ箔に包んで冷蔵庫に保存すると長持ちします。
==茄子==
==茄子==
茄子の安い、美味しい季節になってまいりました。焼いたり、煮たり、揚げたり、漬けたりといろんな味付けでいただける、用途の広い便利なお野菜ですね。余談ですが、私、茄子大大大好きです。
1年中出回っているお野菜ですが、本来は7〜10月が旬のお野菜です。又、秋に出回る「秋なす」は、皮が薄くて柔らかくて、実がしまっていておいしいものです。しかし、茄子には体を冷やす作用があるために、お嫁さんの体を気遣って、「秋茄子は嫁に食わすな」と言われています。もう少し優しい言葉で「秋茄子はお嫁には禁物」とか言えば、変な誤解はないと思いますが…
原産地はインド。ヨーロッパへ、そしてアジアへと、世界中に「なす」はひろまりました。その淡白なあじわいのおかげで、各国の様々な味付けにもなじみやすかったのでしょうね。日本へは奈良時代に、中国から伝わったそうで、もう千年以上の歴史があるお野菜です。「なす」という名前の由来は、実際に育てて見るとわかりますが、茄子は成長がとても早く、早く実をつけることから、「早く成す」〜「成す」〜「なす」となったといわれています。そんなことから縁起の良いお野菜としても認められていますね。
茄子の種類はとても豊富です。長さが25cm位ある長なす・水分が多く、浅漬けすると美味しい水なす・丸なす(加茂なす)・ヘタの色が緑色の米なす・小振りな可愛らしい小なす・変わったところで、ナスの色素がほとんどない緑色の青なすなどがあります。
又、なすは切り口がすぐに茶色く変色してしまいますから、切ったらすぐにお水に、又は塩水につけておきましょう。
茄子の皮には、アントシアニン系色素でポリフェノールの一種である「ナスニン」という色素が含まれています。この「ナスニン」は、強力な抗酸化作用があり、コレステロール値を下げることから、動脈硬化の予防にも良いそうです。
茄子の皮の色は90度以下の温度で変色するので、一気に高温で調理したほうが、あざやかな紫色がでます。ですから、油で揚げるときにも、皮を下にして油に入れてください。又、煮物にする時にも一旦熱い油を通してから煮ることで、色あいを保てます。また、漬物にするときには、鉄釘などを一緒に漬けることで、鉄イオンの効果で綺麗な色に漬け上がります。
栄養面では、90%以上が水分ですが、その他にもビタミンB・C、カルシウム、鉄分、カリウム、食物繊維なども含んでいます。
また、茄子のへたの黒焼きは、昔から鎮痛や消炎などの効果が認められており、それを塗ることで歯槽膿漏や口内炎の治療にも使われるそうです。
茄子を選ぶポイントは、色が濃く表面に張りがあり艶が良くて、ヘタがチクチクと痛いくらいのもの良いでしょ
う。茄子は水分が蒸発しやすいので、冷蔵庫に保存するときは、ラップに包むかビニール袋に入れておきます。